特別開放された部屋から違う角度の庭を見わたす
受付窓口が開いていることでさえ、目新しい。無人の入口を入り、竹筒に硬貨を投入するのが常だ。ここに限らず、内容にふれると心の遊び場に垣根ができてしまうから、パンフはとくに必要ない。参拝時間が日没まで、とあるのが目をひいた。時計管理ではなく、自然まかせだとわかりますます惚れこむ。特別開放された部屋から、違う角度の庭を見わたす。「以前は穴場だったんですよ。」観光タクシーの運転手が、客に話している。あまたの人が庭を取り囲み、密に腰をおろしている。色んな方言が入り混じる。来たい時に来れる、恵まれた環境に感謝しなくてはならない。なんだか、ずっと違和感が続いていた。全てがあるべき場所に位置しているが、何かがちがう。かえでの赤が差し、優雅ではある。しかし、その赤に圧され、つつじの植え込みが迫りくる。奥ゆきを欠いてしまった庭に臨み、縮こまった心は開けっ放しにならない。誰もがこぞって見たがるこの風景をまえに、気持ちは冷ややかだ。それは、光明院との出会いに起因するものなのかもしれない。人っ子一人いない、黒と白と緑がおりなす閑雅な空間。またシーズンオフに、穴場ねらいの醍醐味を味わえばいいさ。
光明院の楽しみ方
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