現実から目をそらして何かにすがる!?「10月の韓国映画」
今月は韓国でヒットした2本が公開される。巨大麻薬組織を舞台にしたハードボイルド『毒戦 BELIEVER』と、風水をめぐる宮中の権力闘争を描いた『風水師 王の運命を決めた男』。まったく違った素材だが、どちらの作品もそれにすがる人たちの姿が狂気に満ちている。
『毒戦 BELIEVER』
(c)2018 CINEGURU KIDARIENT & YONG FILM. All Rights Reserved.
映画あらすじ
巨大麻薬組織に君臨しながら、誰ひとり顔も本名も経歴も知らない麻薬王“イ先生”。麻薬取締局のウォノ刑事(チョ・ジヌン)は組織撲滅のため、長年“イ先生”を追っているが、いまだに尻尾がつかめない。
ある日、麻薬精製工場で爆発が起こり、事故現場から一人の生存者が発見される。ラクと名乗る青年(リュ・ジュンヨル)は組織から見捨てられたといい、イ・先生が出現しそうな麻薬取引の情報を持っていた。
ウォノはラクを釈放することを条件にし、彼と組むことを決意。大胆かつ危険極まりない筋書きで、組織への潜入捜査を行うことに。そこは麻薬に魅入られた狂人たちの巣窟だった。執念の捜査の果てに、ウォノがたどり着いた驚愕の真実とは―。
公式サイト: https://gaga.ne.jp/dokusen/
狂気の世界でアナタも中毒に陥るかも
オリジナルは香港ノワール映画の巨匠ジョニー・トー監督作『ドラッグ・ウォー 毒戦』(2016)。とにかくまともなキャラクターが誰ひとり出てこない。麻薬組織を追う刑事たちの姿も尋常じゃない。
作品はオリジナルよりもキャストのキャラが立っていて見ごたえがある。中でもハリム役を演じた故キム・ジュヒョクの演技は鳥肌モノ。
『毒戦 BELIEVER』
(原題:『毒戦』/2018年/韓国/124分)
2019年10月4日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー
狂気の演技を見ながら失った俳優の偉大さを知る。
『風水師 王の運命を決めた男』
©2018, JUPITER FILM & MEGABOX JOONGANG PLUS M , ALL RIGHTS RESERVED
映画あらすじ
朝鮮王朝の末期、重臣のキム・ジャグン(ペク・ユンシク)は国の主権を握るべく、勢力を拡大していた。謎の死を遂げた次期国王を埋葬するとき、ジャグンが決めた土地を見て「子孫が途絶える悪凶の地だ」と異を唱える者がいた。天才風水師のジェサン(チョ・スンウ)だったが、彼は逆臣たちの反感を買い、家を燃やされ、愛する妻子の命まで奪われてしまう。
13年後―。キム・ジャグンは国王の憲宗(イ・ウォングン)の命さえおびやかす存在に。強い運気が集まる土地“明堂”の中でも最高峰の“大明堂”を独占し、国の頂点に立とうと画策していた。
憲宗の身を案じた叔父の興宣君(チソン)は王家の権威を取り戻そうと、明堂探しの達人ジェサンの元を訪れるが―。
公式サイト: http://hark3.com/fuusui/
野望が渦巻く宮中で究極のパワースポットを求めるオジサンたち
“パワースポット”といえば、いまや女性たちが多く訪れているが、この時代、宮中の権力者たちはこぞって明堂を探していたという。本作も、実在する興宣君が風水師の助言によって父親の墓を移したという実録に基づいている。
その後の興宣君の輝かしい人生は果たして風水の影響か運命か。宮中の権力者たちが血眼になって探すのも無理はない。
『風水師 王の運命を決めた男』
(原題:『明堂』/2018年/韓国/126分)
2019年10月25日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー
信じるものは救われる!?
text:児玉愛子
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